2017-09-29

育児ノイローゼってなに?原因と予防法

出産10日頃に起こる情緒の不安には要注意

出産という経験は女性にとっては一生の記憶に残る大きな衝撃となります。
医療技術が発達した日本国内においては、出産によって母体女性が死亡する確率は約6000分の1、確率なら0.0167%となります。

しかし今も先進国においては出産死亡率が1%を超える国もあり、子供を産むという行為そのものが女性にとって死の危険性がある事実は否定できません。

人の心は心身に強いストレスを受けたときに大きな影響を受け、それは思わぬ形で表に現れてきます。

出産や育児に伴う精神障害として「マタニティ・ブルー」「産褥期精神障害」「育児ノイローゼ」というものが挙げられます。

これらはいずれも出産直後から起こる可能性のあるもので、気分がふさぎ込んだり、逆にイライラしてしまったり、不安感から無気力になってしまったりします。

発症のタイミングとしてはだいたい出産後10日以内が多く、まず最初に一過性のふさぎ込みが起こり、わけもなく涙が出てしまったり、うまく眠れないといった症状が出ます。

ほとんどの人はこうした症状(マタニティ・ブルー)は数日程度で自然になくなってくれるものなのですが、中にはそこで完治をせず長期にわたる不安定な精神状態が続いてしまうことがあります。

家族の枠にとらわれる人によくある症状

出産後に起こる精神障害として、産後4~6週間以内に起こるものを「産褥期精神障害」と言います。
「産褥期」とは、分娩後から再び生理が始まるまでの期間のことを言い、妊娠期に起こった体質の変化が急激に元に戻されるという体内の混乱によって引き起こされます。

症状はマタニティ・ブルーよりも重度になることが多く、せん妄(意識混濁、興奮、錯覚、不安感)といったことがあり、周囲からはまるで人が変わったかのように思われます。

ここ近年多くの発症例が見られているのが「育児ノイローゼ」とされる強い不安感です。
これは出産までは無事にすませたものの、今後自分が育児をしていく自信が持てなかったり、子供にどう接してよいかわからないというときに起こります。

育児に関する相談所にも「我が子なのにかわいいと思えない」「虐待をしてしまいそうで怖い」といった意見が多く寄せられています。

育児ノイローゼを発症しやすいのは真面目で完璧主義な性格傾向のある女性です。
また出産後の復職が決まっている人よりも、専業主婦としてしばらく過ごすことが決まっている人に多く見られています。

育児により社会から自分が隔絶されていると感じると、その孤独感が症状を促進してしまうようです。
あまり育児について固く考えすぎず、できるだけ周囲のサポートを得るようにしていくことが最大の予防法になります。